micro:bit(マイクロビット)を超える 教育用マイコン が日本に上陸か!? makecode の CyberPi(サイバーパイ) の概要紹介と開封の儀を執り行ってみました!
教育用マイクロコンピュータ といえば micro:bit ですね。今や世界で品薄状態ですが、そんな状態に「待った!」をかけたい!!
小学校と中学校では micro:bit とそれを制御するプログラミングソフトである Scratch(スクラッチ) や MakeCode(メイクコード) で事足りるかもしれません(ビジュアルプログラミング(ブロック)は入門としては非常にわかりやすいですね)。
しかし、高校の情報教育(情報Ⅰや情報Ⅱ、総合的な探究の時間など)で求められる「プログラミング活用」であったり「データ活用」まで考慮すると makecode の CyberPi(マイコン) と mBlock(プログラミングソフト)が最適かもしれません!なぜなら、クラウド連携(Google スプレッドシード、Google Classroom、AI連携(要mBlockアカウントでのログイン)、オープンデータ)や mBuild というモジュール(センサー等)の追加も手軽にできてしまうのですから!!そう、IoT活用 のような STEM教育(STEAM教育)ができるのです!
しかもビジュアルプログラミング(ブロック)だけでなく、Pythonまで使えちゃいます!
つまり、入門~応用までこなせちゃいます!
だがしかし!!
知名度が低い・・・。。情報量も micro:bit に比べると少ない。。。 T_T
というわけで!あるふが CyberPi と mBlock をシリーズで全力紹介していきます!!
高校の情報教育の流れ・変化・今後の展開
海外の先進的な教育を行っている国では、既にマイクロコンピュータ(マイコン)を使って、授業を行っているところがあります。日本でも、プログラミングの必修化が始まっています。2020年度に小学校、2021年度に中学校で拡充、そして2022年度に高校で必修化されます。
2022年度から高校で「情報Ⅰ」がスタート
2022年度より、現行の必履修科目である「社会と情報」「情報の科学」(どちらか選択)が統合され、「情報Ⅰ」となります。
「情報の科学」では既にプログラミングの内容が含まれていたのですが、「社会と情報」では含まれていませんでした。
「社会と情報」については,情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに,情報機器等を効果的に活用したコミュニケーション能力や情報の創造力・発信力等を養うなど,情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
「情報の科学」については,現代社会の基盤を構成している情報にかかわる知識や技術を科学的な見方・考え方で理解し,習得させるとともに,情報機器等を活用して情報に関する科学的思考力・判断力等を養うなど,社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度を育てることに重点を置く。
「高等学校学習指導要領解説 情報編」(文科省)
一言で表現するのは難しいのですが、敢えて表現するのならば、
- 社会と情報: 基本的な、ITやメディア等の情報に関わるリテラシー教育が中心
- 情報の科学: 情報の科学的な理解を踏まえた情報知識やスキルの活用を行っていく教育が中心
とでも言えるでしょうか。
「情報の科学」ではプログラミングだけでなく、データベースや分析、シミュレーション等の内容も含まれており、「社会と情報」よりもより科学的な内容を扱っていると認識していただいて間違いないでしょう(どちらがより高度かという問題ではなく、重点をどこに置いているかという違いです)。
そして、社会の変化に伴って(第四次産業革命 や Society 5.0、IT人材不足によりIT人材の育成等)、情報の科学的な理解や考え方を身につける重要性が増してきています。それらを踏まえ、「情報の科学」をベースとして、「社会と情報」の観点と情報デザインの内容を含めた「情報Ⅰ」を開設する必要があったということです。
第四次産業革命 や Society 5.0 といった社会的な背景があるということは、それに付随するキーワードも同様ということです。つまり、
- IoT
- AI
- ビッグデータ
- 5G(コンテンツの進化、双方向通信の加速)
といったキーワードにも触れていく必要性があります。
これらのキーワードに触れた学習が可能になるのが、CyberPi(サイバーパイ) であると考え、あるふ は CyberPi の紹介をスタートしました。
なお、高校の学習指導要領に、情報科の「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」において下記の記述があります。
各科目の目標及び内容等に即して,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れること。その際,必要な情報機器やネットワーク環境を整えるとともに,内容のまとまりや学習活動,学校や生徒の実態に応じて,適切なソフトウェア,開発環境,プログラミング言語,外部装置などを選択すること。
「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(文科省)
問題解決や探究の重要性
また、学校教育全体で「問題解決」や「探究」といったキーワードの重要性が増してきています。
社会の変化が激しいと言われている現代において、「自ら課題を発見し、情報を収集・分析し、社会の問題を解決していく」力が必要だと考えられているからです。
イメージとしては、大学の卒業研究みたいなことを高校でもちょっとやってみよう(必要になってきた)という流れです。
その中で、2015年9月の国連サミットで採択された、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標である
SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))
が学校教育に取り上げられ、地域社会と絡めながら「問題解決」や「探究」での学習のテーマとして扱われ始めています。
また、「情報Ⅰ」と同様に開設される選択科目である「情報Ⅱ」においては、得た知識やスキルを「問題解決」や「実践」に活用する要素がより大きくなります(「情報Ⅱ」を選択科目として設定するかどうかは各学校のカリキュラムによります)(「情報Ⅱ」は2023年度よりスタート)。
このような背景からも CyberPi(サイバーパイ) は非常にマッチすると考えています。
高校の情報教育でも micro:bit(マイクロビット)か?
CyberPi(サイバーパイ) と似たようなものとしてイギリスのBBC(イギリスの公共放送)が主体になっている micro:bit(マイクロビット)という製品があります。
これは今、教育業界を中心に非常に流行っており(特に小学校・中学校等)、一時期は全国で品薄状態にまでなりました(v2.0 に関しては現在(2021年5月)においても品薄)。もちろん、流行っているだけあって高校の情報教育に対しても micro:bit は面白い良い製品だと感じています。実際導入している高校も少なからずあります。小中学校でやっているのであれば、校種間の連携を考慮すると micro:bit を高校でも扱うのは理に適っている部分もあると思います。
しかし、CyberPi は コンセプト面 でも 機能面 でも micro:bit よりも良いと感じています!特に高校教育では(価格面を除いて・・・)。
なお、CyberPi は本社を中国に置く、makeblock社の製品です。makeblock社は2012年に創立した10年未満の企業で、知名度はまだ低い印象ですが、創立者の ジェンセン・ワン は世界的な経済誌である Forbes という雑誌において「2013年の中国の30歳未満の起業家」にも選出されています。
マイクロコンピュータ(マイコン)とは
そもそもマイコンとはどういったもののことを指すのでしょうか。
語源は、
小さい(マイクロな)コンピュータ
となります。また、マイクロコントローラーの略と言われることもあります。
どのように活用されているかというと、
IoT といわれる Internet of Things(モノのインターネット)
でよく活用されています。
IoT は「様々なモノをインターネットに繋いで連携させたり情報収集したりできるようにしちゃおうね」という感じです。
具体的には、Apple Watch などの スマートウォッチ や ウェアラブルウォッチ といったものが有名です。腕時計に温度計や脈拍を測るセンサーや振動センサーを組み込んで健康的に過ごすための数値を計測して表示したり、さらにはAI機能でおすすめな運動方法を提示してくれたり、運動不足を警告してくれたりします。
そんな便利な IoT ですが、今や私たちでも マイコン でなんちゃって スマートウォッチ や簡単なゲームを作ったりすることができる時代になっています。
例えば、モーターと組み合わせることによってペットに自動で決められた時間に餌をあげたり、ライトと距離センサーで人感センサーライトを作ることもできます。YouTube でも日々多くの動画が上げられています。
教育用マイクロコンピュータに求められているもの
時代背景や技術の進歩によりマイコンを教育で活用する必要性が増しているわけですが、これまでもマイコンは存在していました。
例えば、Arduino(アルドゥイーノ) や Raspberry Pi(ラズベリーパイ)です。
これらは micro:bit(マイクロビット) よりもより高度な制御が可能で、ロボット制作に使われていたりと工学系寄りなイメージが強いです。
ちなみに Raspberry Pi は Linux系のOSをインストールすることが可能で、もはや普通のPCレベルのことができちゃったりします(ネットサーフィンやYouTube視聴、オフィスソフトを使うこともできます)。厳密にはマイコンではなくシングルボードコンピュータに分類されるものですが、手のひらサイズでマイコンと比較されることが多い製品です。
micro:bit(マイクロビット)はなぜ流行っているのか
micro:bit(マイクロビット)は、「安価」で「容易」という点で小学校・中学校で好まれているのではないかと思われます。「安価」という点では、1台3000円前後 で購入できるため導入しやすいのではないでしょうか。
また、ソフトウェアとハードウェアの面で「容易」な点があります。
ソフトウェア(micro:bit)
micro:bit(マイクロビット)を制御するソフトウェアの多くは、ブロック型のビジュアルプログラミング言語を扱っています。
具体的には、Scratch(スクラッチ)や MakeCode(メイクコード)というソフトウェアとなります(全て無料)。
Scratch は、スプライトと呼ばれるソフトウェア上のキャラクターを動かしたり、micro:bit の簡単な制御が可能で、プログラミングの入門ソフトとして知名度があります。
MakeCode は、スプライトはありませんが、micro:bit に内蔵されているすべてのセンサー等に加えてサードパーティーの拡張センサーの制御も比較的容易に可能です。さらには、Minecraft(マインクラフト) というゲームでのプログラミングに用いることができます。
ブロック型のビジュアルプログラミング言語は、基本的にブロックを組み合わせるだけであるため、感覚的にプログラミングができます。そのため、プログラミング初学者の入門として、好まれる傾向にあります。
また、小学校のプログラミング教育の目標では、「プログラミングができるようになる」ということを重視しているのではなく、
- 論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成
- 自分で考え、それを形にしていくプログラミング的思考力や行動力の育成
が重視されています。
プログラミング的思考とは、一言で述べるのあらば
なにかの目的に対して手順立てて解決方法を導き出し、それを実行する考え方 ⇒ 論理的思考・考え方
となります。
小学校学習指導要領ではプログラミング的思考を、
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
小学校学習指導要領
と定義しています。
つまり、いわゆる世間一般がイメージするであろう「PCに向かってテキストベースのプログラミングをやってゲームなどを作れるようになる」というプログラミングのイメージがゴールではないため(もちろん、それができるようになることに越したことはないですが)、ビジュアルプログラミング言語が採用されやすいという面があるものと思われます。
また、Scratch も MakeCode もブラウザ版があり、GIGAスクール構想において「クラウドバイデフォルト」を検討するような流れになっていることも追い風になっているでしょう。GIGAスクール構想についてまとめた記事もありますので、良ければご覧ください。
スプライトを簡単に動かすことができるといった面で、個人的には MakeCode よりも Scratch の方がより入門向けなものになっていると感じています。
なお、MakeCode は JavaScript や Python といったテキストプログラミング言語も扱っており、ビジュアルプログラミング言語の次のステップとして用いることも可能です。
ソフトウェアに関してはコチラの記事にまとめていますので、良ければご覧ください。
ハードウェア(micro:bit)
micro:bit(マイクロビット)には、いくつものセンサーが内蔵されています。Arduino(アルデゥイーノ)や Raspberry Pi(ラズベリーパイ)には基本的にセンサーが内蔵されていないため、仮にセンサーの制御を行いたい場合には、電子工作的な作業が必要になることがあります。
しかし、micro:bit には下記のセンサーが搭載されているため、micro:bit を手に入れるだけで、様々なセンサーの制御が可能となります。
- 25個のLED
- 2個のボタンスイッチ
- 明るさセンサー
- 揺れや傾きを検知する加速度センサー
- 方角がわかる磁力センサー
- 温度センサー
- 無線通信機能(BLE)を搭載し、micro:bit同士の無線通信が可能
- スピーカーとマイク(2020年11月25日に発売されたv2以降に搭載)
- タッチセンサー(2020年11月25日に発売されたv2以降に搭載)
電子工作が不要で、安価でこのようなセンサーを手に入れることができるのは大きな魅力ではないでしょうか。導入のハードルが低い製品だと思われます。
CyberPi(サイバーパイ) の優位性(メリット等)とmicro:bitとの比較
micro:bit(マイクロビット)は良い製品ですが、CyberPi(サイバーパイ)にはさらに優れている点がいくつかあります。
ソフトウェア(CyberPi)
CyberPi(サイバーパイ)は mBlock(エムブロック)というソフトウェアを用いて制御できます。
Scratch(スクラッチ)ベース
mBlock は、Scratch(スクラッチ)がベースとなっており、Scratch でできることは基本的に mBlock でもできます。つまり、mBlock も Scratch と同様にプログラミングの入門向けに用いることができます。
デバイス制御
mBlock は マイコンやセンサー等のデバイスを制御する上で、Scratch よりも個人的に使いやすい点があります。
Scratch では、制御するデバイスに対するプログラムを、スプライト(キャラクター)に対して指示する必要があります。
一方で mBlock は、制御するデバイス毎にプログラムを入力することになるため(スプライトと同等に扱えるため)、スプライトとデバイスの連携がやりやすく、プログラム全体の構造がわかりやすくなると個人的には感じています。
Python(パイソン)
mBlock は、ビジュアルプログラミング言語だけでなく、テキストプログラミング言語である Python(パイソン)を扱うことができます。
Python は、IPA主催の基本情報技術者試験においても、プログラミング言語として選択問題に採用されていたり、2021年5月の段階でプログラミング言語の人気指標である「TIOBEインデックス」の2位であったりと、近年最も人気なプログラミング言語の一つとなっています。
人気な理由としては、
- 比較的コードがシンプル
- ライブラリが豊富
- データ分析に強い(ビッグデータの対応可)
- AIの開発が可能
- Webアプリケーションの開発が可能
etc.
が挙げられます。
簡単に述べると、
テキストプログラミング言語として易しい上に、Society5.0 を含む幅広い分野に対応可能
な言語であると言えるでしょう。
mBlock では、
- Python でのプログラミング
- ブロックから Python へ変換したコードの参照(一部不可)
- Pythonエディターを用いたライブラリの追加(要PC接続)
※ Pythonエディターの場合、スプライトの制御はできない(2021年5月現在)
ができます。
なお、MakeCode も Python を扱うことが可能ですが、2021年5月現在では、「ライブラリの追加」と「ブロックからPythonへのコードの変換・参照」(←ブロックからPythonへのコードの変換・編集が2020年度よりできます)はできません。しかし、「ブロックからコードの変換・編集」が可能であるため、ブロックからテキストプログラミング言語への移行に対しては優れた点があります(mBlockにも同様の機能が欲しい)。
mBlock の Python でのプログラミング方法については、コチラの記事にまとめていますので良ければご覧ください。
クラウドサービスとの連携
mBlock の 魅力的な点はまだあります。なんと Google Workspace と連携ができます。
GIGAスクール構想の追い風もあって、Google Workspace for education は多くの自治体・学校で採用されており、活用され始めています。
Google スプレッドシート
Google スプレッドシート に、mBlock で処理したデータを吐き出したり、逆に Google スプレッドシート からデータを取得したりすることができます。
いくつか手順は踏まなければなりませんが、センサーで取得したデータを吐き出しだり、オープンデータを取り込んで処理することが可能ということです。
「問題解決」や「探究」に適していると述べているのはこの部分が大きいです。
Google Classroom
Google Classroomでは、オンライン上で仮想の教室を作ることができ、課題を配ったり生徒と教員がコミュニケーションを取ったりすることができます。いわゆる LMS(学習管理システム) であるとも言えるでしょう。
mBlock から Google Classroom と連携してサンプルコードを配布したり、ソースコードを提出したりすることが可能です。
ハードウェア(CyberPi)
CyberPi(サイバーパイ)の内蔵センサーは、micro:bit(マイクロビット)が内蔵しているセンサーのほとんどをカバーしています。それに加え、ハードウェア的な様々な魅力があります。
なお、micro:bit(マイクロビット)の内蔵しているセンサーをカバーしていないものは、温度センサーと方角がわかる磁力センサーとなります。CyberPiは、ジャイロセンサーを搭載しており、モーションセンサーの一端を磁力センサーの代わりに担っています。また、温度センサーは IoT において頻繫に登場するセンサーではないため、必要になった場合には拡張モジュールで追加すれば良いでしょう(小学校・中学校の理科では温度センサーと磁力センサーは重宝するかも?)。
フルカラーディスプレイ
マイコンにフルカラーディスプレイが元々搭載されています。そのため、手軽に様々な表示ができます。
micro:bit(マイクロビット)や Arduino(アルドゥイーノ) 、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)にはディスプレイは搭載されていないため、CyberPi(サイバーパイ)のようにディスプレイに表示させたい場合には別途ディスプレイを拡張したりする必要があります。
なお、micro:bit(マイクロビット)は25個の赤色のLEDを用いてディスプレイ風に文字や絵を表現することも可能ですが、表現できることは限られてきます。
フルカラーLED
ディスプレイだけでなく、LEDもフルカラーで搭載されています。これで IoT 入門の定番である Lチカ(LEDチカチカ)も手軽に行うことができます。
また、カラーであり、明るさも制御することができるため様々な表現が可能です。
ジョイスティック・わかりやすい形状の操作ボタン
遊び心をくすぐるジョイスティックがあるのも魅力的です。ジョイスティックは、押し込んでボタンのような役割を果たすことも可能です。
また、2つの操作ボタンの形状にも工夫がされており、■(四角)と▶(三角)で「戻る」と「進む」を表したりもしています。
CyberOS・そこそこのスペックのCPUとメモリを搭載
CyberPi(サイバーパイ)には、CyberOS という OS が入っており、複数のプログラムを保持したり保持しているプログラムを切り替えたりすることが可能です。
これは、micro:bit(マイクロビット)よりも良いCPUやメモリを搭載しているためです。
また、CyberOS の操作は、PC に接続することなく、ジョイスティックと操作ボタンのみで行うことができます。
拡張ボード「Pocket Shield (ポケットシールド)」
CyberPi Go Kit という導入キットには、CyberPi(サイバーパイ) の 拡張ボード である Pocket Shield(ポケットシールド)が含まれています。
Pocket Shield は、CyberPi に装着することにより、CyberPi の給電用バッテリーとなります。さらには拡張ポートもあります。
つまり、
- 起動しているマイコンを単体で持ち運びできるようになる
- 複数の拡張モジュールを接続することができるようになる
ということになります。
なお、CyberPi Go Kit には、CyberPi本体、Pocket Shield、給電・接続用のUSBケーブル(タイプC)が入っています。
個人的には、USB が「タイプC」という点でも気に入っています。
容易に拡張可能なmBuild
拡張モジュールの差込口
makeblock社が扱っている拡張モジュールである mBuild を用いれば、容易にセンサーやモーター、スイッチ、バッテリー、カメラ等を拡張することが可能です。
センサーやモーター等を拡張しようとした場合、電子工作が必要になることが多々あります。本来は プログラミング や STEAM をやりたいのに、電子工作で多くの時間が取られてしまうケースも少なくありません。 また、ショートさせて機器を壊してしまったり、トラブルシューティングが複雑になったりすることもあります。
特に、モーターなどある程度の電圧を求められるものを制御しようとすると電子工作の難易度が上がります。micro:bit(マイクロビット)では、電源出力が3Vしかないため、小さなサーボモーターを動かせるか動かせないか・・・というレベルです。あるふ の場合、スピーカと同時に使用した場合には動かなくなりました。
中学の技術や小学校の理科では電子工作的な面をカリキュラムに含めるのはアリだとは思いますが、高校の情報では本来の目的から大きく外れてしまうのではないでしょうか。
そういった面でも、CyberPi は電子工作の手間がかなり少なくなるため、非常に魅力的に思えます。
BluetoothだけでなくWi-Fiでの接続も可能
CyberPi(サイバーパイ)は、ネットワーク接続に強みを持っています。だからこそ、IoT的な学習、STEAM教育に適しています。
その大きな理由の一つが、拡張モジュールなしで Wi-Fi 接続が可能であるという点でしょう。
また、別売りにはなってしまいますが、Bluetoothドングル を用いれば、PC との接続を Bluetooth で無線化できます。ケーブルが不要というのは大きな魅力です。特に、動きがある授業や協働作業で進める授業では非常に効果的です。
明るさセンサー・加速度センサー・マイク&スピーカ
micro:bit(マイクロビット)が内蔵している 明るさセンサー や 加速度センサー、そして マイクとスピーカ(micro:bit v2.0 以降)は、CyberPi(サイバーパイ) にももちろん内蔵されています。
そのため、micro:bit でできることはほとんど CyberPi でもできるということになります。
まとめ
ここまで CyberPi(サイバーパイ)の紹介をしてきましたがいかがだったでしょうか。
ソフトウェアの面でもハードウェアの面でも、CyberPi と mBlock が 学校教育に適している
と個人的には強く感じています。特に高校教育にはピッタリなのではないでしょうか。
来年度(2022年度)からスタートする「情報Ⅰ」や 再来年(2023年度)からスタートする「情報Ⅱ」に向けて、多くの教員が環境準備等に追われていることでしょう。
その一つとして CyberPi を検討してみるのはいかがでしょうか。
コメント
Cyberpiがかなり創意工夫の余地のある教材になりうると思いました。教則本等があれば、より取り入れやすくなるのではないかと思います。近々、出版されることを期待しています。
コメントありがとうございます。創意工夫という点ではSTEAMにかなり生かせるように感じています。
まだ日本語のCyberPi単体での教則本等はないようですが、makeblock本社からダウンロード可能なものがあります。
https://education.makeblock.com/resources/res-lower-secondary/70308/
以前はCyberPiで制御するロボット、mBot2のもの(https://education.makeblock.com/resources/res-lower-secondary/85070/)しかなかったのですが、CyberPiのものも先日公開されたようです。
導入の動機付けから展開、振り返りまで記載されていて内容は充実しているように見受けられます。日本語訳が出ることを期待しています。
あと、先月発売されました『日経ソフトウエア 2021年 9月号』にCyberPiが特集されているようです(私はまだ未読です)。